拡大先端機能セミナー(拡大MCASセミナー)
「流体物理のためのBesov空間入門」

※※※ 本企画は事前登録は不要です。当日会場に直接お越し下さい。 ※※※

Contents

概要

講師:
宮川 鉄朗(金沢大学大学院自然科学研究科・教授)
日時:
平成19年1月15日(月)〜18日(木) 14:45〜16:15
場所:
北海道大学大学院理学研究院 数学部門 4の508号室
プログラムコーディネータ:
坂上 貴之(北大理),松本 剛(京大理)
趣旨:
Besov空間は偏微分方程式の数学解析においてよく用いられる関数空間で ある.特にNavier-Stokes方程式などの流体方程式の数学解析において重要な役 割を果たしており,当該分野での日本の数学者の貢献は多大なものがある.

一方,乱流物理学においては乱流の統計理論による理論解析とともに,大規模な 数値解析によって明らかになった流れ場の持つ微細な構造やそのメカニズムの記 述などが関心をあつめている.通常,乱流現象の理論的記述は物理量のフーリエ 空間におけるスケールフリー構造としてとらえられることが多く,乱流の理論 的・数値的研究においても日本の物理学者の貢献は大きい.

しかし,これらの流体方程式を巡る二つの研究は物理や数学別々に発展を遂げて きた.Besov空間は半ば数学的な要請から導入されており,乱流を含むような流 体の現象を記述するために導入された概念ではないためであるが,もしこの関数 空間が流体方程式の解を真に記述する空間であれば,乱流などの現象も当然含ま れるであろうし,そうであるならば,乱流が見せる様々な性質もこの関数空間の 言葉で記述されることが期待される.実際,乱流の理論的研究の世界では近年 Besov空間を用いた乱流の特徴付けが試みられている.

数学・物理ともに同じNavier-Stokes方程式を扱う以上どこかに接点があり,お 互いの情報を交換することで双方の進展がますます深まることが期待されるが, 従来の専門家が一堂に会して互いの最新の研究成果を話すような研究集会方式で は,双方の研究者の学問的背景の相違から,容易に交流がすすまないことに問題 がよくある.そこで,北大数学COE先端機能では「拡大先端機能セミナー」と 銘打って,流体物理の専門家に向けた,Besov空間に関するレクチャーを開催 し,それを通して議論を濃密に行うという形式を採用することで,学問的背景を 共有化し,将来において,二つの学問の最先端が高度に融合することを目指すも のである.

なお,コーディネータは講師とも相談の上,事前にいくつかの参考文献を提示 し,参加者に対して事前の学習をお願いしている.参考文献は以下の通りである.

参考文献:(乱流物理に関するもの)
[1]G.L.Eyink and K.R.Sreenivasan,"Onsager and the theory of hydrodynamic turbulence", Reviews of Modern Physics vol.78, pp.87-135 (2006) コメン ト:(IV節 A,B,C (p.99—110),特にIV節Cの式(55))
[2] U.Frisch, "Turbulence, the legacy of A.N.Kolmogorov",Cambridge Univ. Press (1996) コメント:文献[1]IV節C pp.108 で紹介されている,乱流速度場 についてのmultifractal model の解説が8.5.3節にある.

参考文献:(Besov空間に関するもの)
[1]H. Triebel : Theory of Function Spaces II (Birkhauser) コメント: Besov空間の歴史的な経緯が書いてある.
[2]J. Bergh and J. Lofstrom: Interpolation Spaces, An Introduction (Springer, 1976) コメント:数学の修士学生のためによく用いられる テキス ト.数学的背景のある人には読みやすい.
[3] M. Cannone : Ondelettes, Paraproduits et Navier-Stokes (Diderot Editeur, Paris)
[4] Y. Meyer: Oscillating Patterns in Image Processing and Nonlinear Evolution Equations, (University Lecture Series Vol.22, AMS)
連絡先・問い合わせ先
北海道大学数学COE支援室 
担当 笹森
Tel: 011-706-4671
E-mail: cri@math.sci.hokudai.ac.jp